歴史小説の大御所が衝突する「日本史探訪」を読了、森蘭丸はガチムチなど意外な話も
角川書店から出ている書籍「日本史探訪」の9巻『戦国の武将たち』と10巻『信長と秀吉をめぐる人々』を購入しました。
戦国武将や著名な戦について、識者が対談または独り語りの形式で自分の考えを述べます。ラインナップを見ると、
『9巻 戦国の武将たち』
北条早雲 海音寺潮五郎/杉山博
斎藤道三 司馬遼太郎
毛利元就 野村尚吾/戸川幸夫
山中鹿之介 海音寺潮五郎
武田信玄 新田次郎
謙信と信玄 海音寺潮五郎/新田次郎
武田勝頼 新田次郎
松永弾正久秀 南條範夫/桑田忠親
蒲生氏郷 海音寺潮五郎
一向一揆 笠原一男/杉本苑子
『10巻 信長と秀吉をめぐる人々』
織田信長 司馬遼太郎/海音寺潮五郎
足利義昭 永井路子/山崎正和
細川幽斎 松本清張
長篠合戦 南條範夫/新田次郎
明智光秀 辻邦夫/桑田忠親
本能寺の変 松本清張/宝月圭吾
信長と秀吉 石原慎太郎/太田薫/山岡荘八
豊臣秀吉 海音寺潮五郎/松本清張
前田利家 池波正太郎
千 利休 唐木順三
お市の方と淀君 永井路子/杉本苑子
|∀・) 著名人が多いじゃないですか
海音寺潮五郎さん、司馬遼太郎さん、山岡荘八さん、新田次郎さん、松本清張さんなど顔ぶれが豪華です。
さて、室町時代から安土桃山時代について、各武将に関する歴史小説などが沢山出ているため、当時の様相がいかにも明らかになっているような印象がありますが、正確な文献や史料というものは実は少ないんですね。
個人の日記や覚書、手紙や書状などの断片を組み合わせて、当時の行動はこうだったのではないかなど推測している状況というか。史料の数も少なければ、書き手による記憶違いや読み手による解釈の違い、時の政権による改竄など信憑性も疑わしい。あとから発見された史料によって通説が覆るなんていうことも珍しくはありません。
これが正しいという公式な史料というものが無いため、どの史料を採択するかによって見解ががらりと変わるわけですね。人それぞれの解釈があり、それぞれの戦国時代があるというか。識者や歴史小説家にとってみてもそれは同じで、事象や人物像に対して見解の相違というものがかなりあります。
|゚Д゚)) で、そんな人たちが対談するわけですよ
意気投合した場合は和やかに進むのですが、見解の相違があった場合はお互いに譲らない。これが読んでいると結構面白いです。川中島の合戦で謙信と信玄のどちらが勝利したと言えるのかなど。
また、対談以外のものに関しても、当時に忠節という概念がいかに薄かったのか(信玄、謙信、信長逝去後の家臣団の分裂)、嫁に差し出す姫は人質というよりも外交官としての役目を担っていて優秀な姫は外部にそうでない姫は家臣に嫁いだ、茶器に対する異常なまでの執着心がうかがえるエピソード(あの武将があの茶器に口をつけている姿を想像しただけで許せん)、信長と秀吉の手形など、
∑(゚∀゚ノ)ノ
と驚いてしまうものが沢山ありました。昭和50年代の書籍なので、書籍内で述べられている説が覆されていたりする可能性もありますが、歴史小説や戦国時代に興味のある人であればかなり楽しめると感じました。
評価は☆4。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- イギリス特殊部隊隊長が語る湾岸戦争「ブラヴォー・ツー・ゼロ」を読了、卒倒ものですな(2012.02.19)
- 戦場はかくも不潔なのか! 一兵士の心情を描いた「ペリリュー・沖縄戦記」を読了(2012.01.29)
- スティーヴン・キングさんの短編集「夜がはじまるとき」を購入、これは過去最高の(2011.10.04)
- 「ほんとにあった怖い話 夏の特別編2011」の感想といわくつき物件など(2011.09.04)
- 歴史小説の大御所が衝突する「日本史探訪」を読了、森蘭丸はガチムチなど意外な話も(2011.06.05)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント