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2010年6月30日 (水)

動物園に行くよりもこの一冊「シートン動物記 狼王ロボ」、ロボの毛皮のサイズに驚き

「シートン動物記 狼王ロボ」の集英社文庫版が売っていたので購入。シートン(アーネスト・トンプソン・シートン)は元々は画家で、その観察眼の鋭さから後に動物学者となった人物。自らの観察と体験、伝聞をもとに多くの動物記を残しました。

「シートン動物記」は、ノンフィクション(動物の生態)とフィクション(動物の心理描写)の混合といった感じで構成。専門的な分野にもかかわらず、物語感覚でサクサク読めるのが特徴です。

|∀・) 児童書としてもおなじみですね

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「シートン動物記 狼王ロボ」集英社文庫版には、狼王ロボ、灰色グマの伝記、カンガルーネズミ、サンドヒルの雄ジカが収録されています。

【狼王ロボ】
牧牛を襲う狼の一団と、それを阻止しようと罠を仕掛けるシートン。
狼のリーダーであるロボに罠をことごとく看破されたシートンは、ロボの妻であるブランカにターゲットを絞り捕獲&殺害。ブランカを殺された怒りと悲しみで冷静さを失ったロボがついに罠にかかるが…。動物の愛情と誇りを描いた作品。

【灰色グマの伝記】
猟師により親と兄弟全てを失った灰色グマの子ども「ワーブ」の話。
他の生き物からの迫害や人間の仕掛けた罠などを乗り越えてたくましく成長したワーブ。森の王者となるが、その生い立ちゆえに暴虐&孤独な生活を送ることに。艱難辛苦、絶頂、老いと、生物の一生を見つめた作品。ラストは涙腺がダダ漏れ。

【サンドヒルの雄ジカ】
鹿狩りに楽しみを感じる若者(シートン)と、知恵を駆使して逃走するシカ(雄と雌のつがい)の話。
知恵比べに勝って雌の鹿を仕留めることで欲求(殺戮の衝動)が満たされるものの、数日間にわたって知恵比べを繰り広げた相手を一瞬にして腐った肉塊へと変えたことに、「これが俺の本当の目的だったのか?」と自責の念を抱く若者。
その後も追跡を続け、残された雄ジカと若者が対峙。雄ジカの目を見つめるうちに、突如として若者の心にある考えが。他の生物の命に対する尊厳に関する話。若者と雄ジカが対峙するシーンが最高に美しい。

|゚Д゚)) 寓話か? 寓話なのか?

実際にあったことをもとに描かれているのですが、心に訴える内容です。観察記としての知育、寓話としての徳育で子どもの読み物にもってこい。動物の生命や生活圏を尊重したくなるというか、人間と他の動物の関係性などについて考えさせられます。大人が読んでも楽しめるというか興味深い内容です。

動物園や水族館に足を運ぶよりも、「シートン動物記」を1冊読むことをお薦め。海外には、シートンの博物館があるようですが日本でも展示してくれないかな。

シートン博物館に展示されているロボの毛皮(個人ブログ)
http://blog.goo.ne.jp/woodychuck/e/71195fa6f87ac47ccb5c13bd64e4b862

|゚Д゚)) ロボの毛皮でかっ!

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