西原理恵子さんの「この世でいちばん大事なカネの話」を購入
西原理恵子さんの「この世でいちばん大事なカネの話」を購入しました。西原理恵子さん+金ということで
|д゚) ギャンブル系のえげつない話でしょうか?
と思ったんですが、想像と異なりとても真面目な内容。真面目な内容と言っても、学者などの専門家が述べるような経済的な話ではなくて、貧困が子どもの成長や家庭環境にどのような影響を及ぼすかについて体験を元に考察を述べています。
西原理恵子さんが幼少~学生~社会人期に体験したことをもとに語るので自叙伝としての要素も含んでいるんですが、「友人との金の貸し借りでどのようなものを失ってしまうのか」などの直接的なもののほかに、「子ども時代に親に暴力を振るわれた人間がなぜ自分が大人になった時に親同様に暴力をふるってしまうのか」、「不良やヤンキーがなぜそうなってしまったのか」などについてもカネという視点から分析しています。
|゚Д゚))) これが非常に興味深い
一言で言うなら、貧困による負の連鎖というものでしょうか。金のない家庭に育った子どもはそれなりの教育しか受けられず、現代の社会の仕組みではいつまでも抜け出せない。また、貧困に起因する家庭内での衝突、暴力、精神的な荒廃からも抜け出せず、気がつけば自分が嫌っていた親と全く同じ状況になっていると…。世代が変わろうが何をしようが、いつまでたっても負のスパイラル。一方、恵まれた家庭の子どもは、良き家庭、良い教育と上昇気流といったところですか。これは個人レベルだけでなく、先進国と後進国といった国にも当てはまることですね。
|゚Д゚))) こうやって二極化が進んでいくわけですな
経済力の違いによる格差や社会的差別。知っていても誰も口にしない(またはタブー視し口を閉ざしている)社会の現実というものをバシッと書いているわけです。
|д゚) そのほかにもいろいろと…
お金の話といいつつも、お金の話にとどまらないんですね。生き方、価値観、育つ環境、働くということなど、どちらかというと人生に関するお話。
本のタイトルや表紙のデザイン、帯の説明文にとらわれずに、多くの人に読んで欲しいなと感じた本。西原理恵子さんの作品としては珍しく99%が文章ですが、わかりやすく、そして読みやすく書かれているため普段本を読まないような人でも、とっつきやすいと思います。
評価は☆5。学校の推薦図書として置いてもいいんじゃないでしょうか。
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