吉村昭さんの「東京の戦争」を読みました
吉村昭さんの「東京の戦争」を読みました。太平洋戦争の戦中~復興期における庶民の生活を描いています。吉村昭さんの実体験をもとに語られるのでエッセイに近いですね。
個人の体験をもとにしているため、資料をもとに構成した戦史小説などと比べて格段に読みやすいです。そして、吉村昭さんの着眼点がユニークで
( ゚д゚) そうだったんだ
と驚くエピソードが多く含まれています。大空襲で家屋も木々もすべて焼失した都内で、人々が土中から電柱(当時は木製、上部は焼失するも土中部分は残っていた)を掘り出して薪代りにしていたこと。電車のつり革のプラスチック部分やシートが盗難され、それが意外な場所で使われていたことなど
( ´∀`)bグッ!
過去の日本人の生活を知りたいという人にもお勧め。
戦時および戦後の復興期について、世相は暗いのですが、吉村昭さんは、そういった中で(良い意味でも悪い意味でも)逞しく生きる人間の姿を描いています。無駄な描写などがなく、必要なことを簡潔に伝えながらも、その視点に人間的な温かさを感じる。読んでいて非常に落ち着きますね。
なお、収録内容は
空襲のこと(前・後)
電車、列車のこと
石鹸、煙草
土中の世界
ひそかな楽しみ
蚊、虱…
歪んだ生活
戦争と男と女
人それぞれの戦い
乗り物さまざま
食物との戦い
中学生の一人旅
進駐軍
ガード下
父の納骨
となっています。
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