山岡荘八さんの『小説 太平洋戦争』を読了
山岡荘八さんの小説『小説 太平洋戦争』を読み終えました。8~9巻では、沖縄戦、原爆投下、ソ連侵攻、終戦、満洲国からの引揚について触れています。
|ω・`)
従軍作家であったということから、山岡荘八さんの視点は軍部寄り。「五族共和」を目指した日本vs白人至上主義の英米の戦争という見方は変わっておらず、東京裁判がいかに不当なものであったのかなどについて見解が述べられています。ただし、
|ω・`) ソ連侵攻で国民を置き去りにして逃散した関東軍
など、一部上層部の理念が必ずしも軍全体に浸透していなかったことなどが伺えます。いくら大義名分をかざしたところで、支那進行は、侵略に過ぎなかったのではないか? という疑問が浮かぶわけですね。被占領下の人間の認識が共栄ではなく侵略されたというものであったからこそ、満州国崩壊時の悲惨な状況を招いたのではないでしょうか。
まぁ、日本が劣勢と見るや、日ソ中立条約を破棄し奇襲的に満州国等に侵攻。殺戮および略奪、拉致(奴隷として強制労働)などを行ったソ連の非道ぶりには
( ゚皿゚)キーッ!!
と憤りしか感じませんが…。
『小説 太平洋戦争』では、全体の流れを追うことができますが、あくまでも一側面から見た戦争であるということを念頭に置く必要があると思います(731部隊など、日本側の行為については触れられていませんし)。
『小説 太平洋戦争』を読んで、感じることは人によって様々だと思いますが、他国に侵攻するという行為(他国の文化や思想を支配・蹂躙しようとする行為)の愚かしさや無益さを実感できるのではないでしょうか。そういった意味では、戦争反対を主張する日本人としては読んでおくべき1冊だと思います。
山岡荘八さんは、最後に「戦争は、煎じつめれば自己主張の拡大であり激突である」と触れていますが、もっと相手の思想(その思想や文化が培われてきた背景)などを尊重できるようになれば、宗教戦争や紛争なども無くなると思います。思想の押し付けや、支配下に置くことによる搾取など、自己の利益を追求するのではなく、侵さず侵されず(防衛のための軍事力は必要だと思いますが…)という考えが根付くことを願いたいですね。
まぁ、ここ数ヵ月間は山岡荘八さんの『小説 太平洋戦争』にどっぷりだったので、趣向の異なる小説(活力がみなぎるようなもの)を読もうと思います。
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