城山三郎さんの「落日燃ゆ」を読みました
城山三郎さんの小説「落日燃ゆ」を読みました。東京裁判で絞首刑に処せられたA級戦犯の広田弘毅さん(外相および総理大臣)に焦点を当てた作品です。
広田弘毅さんは、A級戦犯として裁かれましたが、本当は戦争防止のために奔走していた人物であったという史実を浮き彫りにしています。
|д゚) 義務教育では教えないぞな
軍部の暴走や暗殺による弾圧など、当時の日本は軍国主義であり、文官による抑制などが利く状況でなかったこと、また、軍部内でも陸軍と海軍の軋轢があり一貫した戦略がなかったことなど、第二次世界大戦時の日本の状況がよくわかります。
|д゚) なかなか勉強になりますな
ただ気になったのが、決定権のある内閣の人間と国民の生活があまりにもかけ離れているという点。戦時中にもかかわらず、外相は赴任地で優雅な生活を送り、首相などは本土で安全に暮らしている。徴兵制度も配給制限も何もなし。まさに
|゚з゚) 戦争の苦労なんて他人事
といった感じ。戦争の防止に奔走といったところで、政府上層部の取り組みに真剣さが感じられない。単に諸外国への外聞とか、政治的な思惑で戦争防止に努めているとしか思えない。本当に戦争を止めたかったのであれば、命を張ってでも止めるべきだったんじゃないのか? 止められなかった以上、その責任を負うのは当たり前だろうと思いました。
o( ゚Д゚)o あの世で戦争の犠牲者に詫びろ
戦争の決定権がある人間(政府要人)は、開戦しても前線で戦うわけではなく、決定事項だけを押し付けられた国民が前線で戦う…。なんですかね、この不平等感は。読んでいて非常に腹立たしい。
( ゚皿゚)キーッ!! バカちんが
侵略を目的とした戦争を望むのであれば、勝手に自分たちだけで敵国に行って戦え、無関係な人間を巻き込むなと言いたい。しかし、国民の総意ではないのに、一部の政治家に国の方針として決められたら従わざるを得ない。この図式は、昔も今も変わっていませんね。政治家=国民の代表ではなく、政治家は国民を手駒としてしか見ていない。なんか書いていてムカムカしてきたので、ここで終了。
( ゚Д゚)⊃旦 < 茶飲め
「落日燃ゆ」は、当時の状況を浮き彫りにしているという点で評価は高いですが、あまりにも国民不在の印象なので、個人的には☆2。一部人間の決定が、国民にどのようなことを強いたのかも描かないとフェアじゃないと思いました。
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