山岡荘八さんの「小説 太平洋戦争」を読んでいます
昨日のTV番組「シリーズ激動の昭和~あの戦争は何だったのか~日米開戦と東条英機」にはガッカリでした。まぁそれは置いておいて、最近、山岡荘八さんの「小説 太平洋戦争」を読んでいます。
|д゚) 全9巻で、いま1巻目が終わったところなんです
山岡荘八さんは、太平洋戦争時には従軍作家として各戦線を転戦。また、執筆にあたっては、将軍や提督など多くの関係者から話を聞いています。軍の内部事情に精通した作家と言って間違いはないでしょう。
|д゚) で
1巻では、近衛内閣の崩壊、東条英機内閣の誕生、真珠湾攻撃と、開戦に至るまでの状況が描かれています。
自分たちが受けた戦後教育との大きな違いは、「天皇以下、東条英機をはじめ、陸海軍ともに開戦を防ごうとしていたこと」、「米国による狡知により開戦を余儀なくされたこと」でしょうか。
( ゚Д゚) ウヒョー
今までは、侵略戦争で得た領土を手放したくない日本が戦争に突入したと教えられてきたわけです。いわゆる、東条英機&当時の軍部=悪という図式ですね。ところが同書を読むと、それが180度変わってきます。
白色人種至上主義で植民地支配の拡大を図る米英と、有色人種による一大国家を築こうとした日本、支那および日本の赤化を目論む露。
支那における過ちの是正と沈静化、赤化の防止で戦争の拡大を望まない日本。支那に手をまわして平定を妨害する米。さらに、有色人種の勢力拡大を快く思わなかった米英が、いかにして日本を開戦せざるを得ない状況に追い込んでいったのか…。軍属の人間が描いたからという色眼鏡は抜きにしても、非常に説得力があります。
戦後しばらくして、真珠湾攻撃を米国が事前に予測していたこと(自国民の戦争嫌忌の空気を払しょくするために日本が奇襲した態に仕立て、戦争を大義名分化)、開戦を防ぐために日本が提示した譲渡案を跳ねのけ、諸外国も首をひねるハルノートを提示したこと(日本がこれを受け入れると露による赤化工作が成功し、日本国内が崩壊する恐れがあった)などは明らかになっていますが、同書を読むと
Σ( ゚Д゚) スッ、スゲー!!
と驚かざるを得ないですね。太平洋戦争を、単なる国対国の戦争ではなく、白色人種、有色人種、共産主義の思想の激突であったという観点から捉え、それぞれの文化や目論見などについて触れており、かなりの含蓄があります。1巻目の感想ですが、日本人に限らず、幅広い人たちにぜひ読んで欲しい。文明や人種といったものについて深く考えさせられます。そもそも、白人による植民地支配が当たり前のように考えられているのがおかしい。人が人を支配する、搾取して当たり前の土壌を作るというのは異常。日本は、共存共栄の考えが植民地支配に変貌してしまいましたが…(その過ちについても、作中で語られています)。
米国の意向をもとに行われた戦後教育が正しいとするか、それとも当時軍の内部にいた人物(山岡荘八氏)による記述を正しいとするか、どちらを取るかは個人で異なると思いますが、非常に興味深い内容です。
評価は☆5(とりあえず1巻目)。単なる戦記小説ではないので、教養を深めるのにも良いと思います。
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