梁石日(ヤン・ソギル)さんの小説「血と骨」を読みました
梁石日(ヤン・ソギル)さんの小説「血と骨」を読みました。「闇の子供たち」を読んだのをきっかけに、梁石日さんのほかの作品も読んでみようということで物色。「全選考委員の圧倒的な支持を得た山本周五郎賞受賞作!」の売り文句に惹かれ
( ゚∀゚)ノ 上下巻をブックオフで一括購入
しました。小説の軸となるのは、在日朝鮮人の金俊平。俊平は、他を凌駕する体躯と暴力性を武器に、無理難題を他人に押し付けるタイプの人間。
独身時代には、自分が働く蒲鉾工場で同僚や上司を脅し勝手放題。結婚後は、働くことをやめ、小料理屋を営む妻(英姫)から金を奪い取っては博打と酒に費やし、毎夜のごとく妻と子供に暴力をふるっては店舗を破壊。正論で諌める人間に逆恨み。
事業を始めて収入を得るようになっても、家族のためにはビタ一文使わず、子供を餓死させるなどまったく家庭を顧みない。必死に生活を支えてきた英姫への感謝などもみじんもなく、本妻のすぐ近くに妾を囲って生活。
とにかく
( ゚皿゚)キーッ!! 最悪っ! 最悪っ!
というような人物。普通の小説などでは、悪漢も悪漢なりに何らかの魅力があるわけですが、金俊平については、嫌悪感しか湧いてきません。関わる人間に災厄しかもたらさない存在といったところで
( ゚皿゚)キーッ!!
梁石日さんの実父をモデルにしたということですが、こういった父親を抱えた家族や親類には地獄でしょうね(小説なだけに人物像は脚色されていると思いますが)。
正直、上巻を読み終えた時点で
ホント o(゚Д゚)っ モムーリ!
と精神が読むことを拒否。したわけですが、一括して買ったもんだから下巻も読むことに。
下巻になると金俊平の身体にも衰えが見え始め、新たに囲った妾とその子供からひどい仕打ちを受けるようになります。
|д゚) 因果応報じゃ
と思いつつも、単にそう簡単に割り切れるのではなく、非常に複雑な心境になります。同情心なんてものは、これっぽっちも湧かないのですが、かといって、ざまぁみぃという感じでもなく、あるのは虚しさ。
上下巻を振り返ってみると、そこには金俊平とその周囲の人間の波乱万丈の一生が詰め込まれていて、生の凄惨さしか無い。生きる喜び、結婚する喜び、子供を育てる喜びという一般的な幸せというものは皆無です。ひたすら大きな力、大きな流れといったものに翻弄され続ける人間の姿が描かれていることに気が付きます。
c(`Д´と⌒c)つ彡 ヤダヤダ
読んでも元気が湧いてこない作品。圧倒的な迫力に満ちた作品ですが、この作品を欲するシチュエーションというものが全く頭に浮かばないです。系統的には、新堂冬樹さんの「鬼子」と同じで、ズンと精神が落ち込む作品だと思いました。
評価は☆2
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