小説「聖の青春」を読みました
編集長からもらった小説「聖の青春」を読みました。腎ネフローゼという腎臓病に冒されながらもプロの将棋士として活躍した村山聖さんの一生を描いたノンフィクションです。
著者の大崎善生さんは、元々将棋雑誌の編集者であり、題材が棋士となれば
( ゚Д゚)σ 将棋差し以外は楽しめないんじゃね?
という気がしますが、1個人の生涯にスポットを当てているため、将棋をあまり知らなくても興味深く読める内容。将棋を知っている人は、より一層楽しめるというところで、将棋未経験者から経験者まで間口は広いです。奨励会など将棋界の仕組みも知ることができるなど、知的好奇心も満たされます。
さて、この小説は、村山聖さん本人の日記、家族による日誌、師匠である森さんの談話、大崎さん自身の経験と、様々な面から資料を集め、それを再構築し小説という形にしています。フィクション的な読感をもたせたノンフィクションといったところでしょうか。
( ゚Д゚)σ でっ
村山聖さんなんですが、将棋以外の面を見ると、髪を切らない、爪も切らない、風呂も嫌い、母親に冷たい、父親に我が儘、酒飲み(泥酔レベル)、麻雀好きと
|д゚) ………
けして褒められたものではない感じなのですが、読んでいても不快感はなく、なぜか好感を抱いてしまう。これは、この小説を構成した要素(家族、師匠、そして大崎さん自身の気持ち)が村山さんのことが愛おしくてたまらないからなのでしょう。その影響からか、読んでいる自分も、いつの間にか村山さんに対する親近感が湧いてきます。
第3者的なノンフィクションではなく、近親者によるノンフィクション。フェアじゃないといえばフェアじゃないですが、そういった面を差し引いても、読む価値はあり。生きるとは何か、充実した生とは一体何だろうな、なんて事を考えさせてくれます。
評価は☆4。本屋で見かけたら迷わずGETレベル。
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