伊藤潤二さんの「潰談」を購入、「長い夢」が好きな人なら楽しめる
伊藤潤二さんのホラーマンガ「潰談(かいだん)」を購入しました。「闇の声」以来3年ぶりの短編集ということです。伊藤潤二さんによると「慢性的な疲労で腕に馬力がかからない」ということで作品を書くのは大変そうですが、個人的に好きな漫画家なので、長く書き続けて欲しいですね。
「潰談」には、
・双一前線
・双一の愛玩動物
・合鏡谷にて
・幽霊になりたくない
・蔵書幻影
・闇の絶唱
・潰談
が収録されています。
この中で個人的に良かったのは「潰談」。一見すると突飛な話のように思いますが、終盤まで読むと、「ああ、あれがモチーフなんだ」なと気づかされます。日常生活の一風景を別の物語に仕上げる点は、芥川龍之介さんの「鼻」に通じるものがありますね。発想がスゴイです。
キャ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
伊藤潤二さんの作品は、とにかく発想がすごいので、未読の人には伊藤潤二恐怖博物館(文庫版1~10)がオススメ。
ちなみに、伊藤潤二さんの作品で好きなのは
・寒気
・案山子
・落下
・許し
・煙草会
・うめく配水管
・首吊り気球
・土の中
・墓標の街
・長い夢
・浮遊物
・顔面固定
・死びとの恋わずらい
この中でベスト1は、「長い夢」。簡単に説明すると、
「夢の中での時間が日を追うごとに長くなっていくように感じる」という男性が病院を訪れる話。
初めは、一晩の夢の中での時間が2~3日だったものが1年の長さになり、
「今では前日の記憶がハッキリせず、日常生活に支障をきたすようになりました…。何しろボクにとって昨日は、去年のことですから」
という展開に。どんどん夢の中で過ごす時間が長くなっていくわけですね。男性には、起きると前日とはまったく異なるイントネーションで話すようになるなどの変化が。
キ・キ・キ・キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
実際に、夢の中での時間が何十年も感じられるようになったら、どっちが仮の人生と言えるんでしょうかね。過ごしている時間が長い夢の世界の方が、自分にとって現実となるのか?
夢と現実の狭間というか、今の生活ももしかして夢を見ているような状態で、そこから抜け出して初めて現実に返るみたいなムニャムニャと想像がひろがるわけですね。
まっ、そんなこんなで伊藤潤二さんはオススメです。
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