TBSの日航機墜落事故番組など
今日(2月18日)、TBS系列で再放送された「ボイスレコーダー”残された声の記録”」を見ました。これは、1985年に発生した日航機墜落事故をテーマにしたドキュメンタリー番組ですね。
当時、小学校4年生だった私は、航空機墜落の事故についてのニュースを見た記憶はあるものの、それについて何かを考えたり、影響を受けるといったことは無かったわけですが、いい歳になったいま見ると、規模の大きい事故だったこと、事故現場が群馬県だったことに驚き。事故調査にあたった運輸省の姿勢にも驚きを禁じ得ずといった感じです。
感想については省きますが、TBSは良い番組を作ったなということで讃辞を贈りたいです。
こういったドキュメンタリー番組の存在は、吉村昭さんの著書を好む私にとっては、大変興味深く、また、世間的にも評価されていいのかなと思います。バラエティや音楽番組もたまにはいいですが、こういった物事を深く考えさせてくれる番組が増えてもいいのではないでしょうか。
さて、そんな私が最近読んだのが、吉村昭さんの「陸奥爆沈」と「背中の勲章」。「陸奥爆沈」は再読で、「背中の勲章」は初読です。いずれも、第二次世界大戦に関するもので、丹念な取材を元にしたドキュメンタリー小説です。
過去の事実を掘り起こす作業の大変さについては、吉村昭さんも「陸奥爆沈」の冒頭で、
「この島の死者たちは、過ぎ去った時間とともに朽ちようとしている。やがては反復される季節の歯車によってすりつぶされて、永久にその存在を消してしまうだろう。
私にも、ショベルを手にすることはできる。埋もれかけているものを、土中から掘り起こすことができないわけではない。しかし、いったんショベルを土中に突き立てたときからはじまる労の多い作業を思うと、ショベルを手にとることに強いためらいを感じる。土の中は深く、そして暗い」
と述懐しています。いまの時代、ドキュメンタリーを完成させることのできる精神力と体力、そして才能を持つ作家は少ないのかなと感じます。吉村昭さんの逝去が惜しまれてならないですね。
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