新堂冬樹さんの「カリスマ」を読了、教祖の俗物ぶりに抱腹絶倒
年末年始は家で仕事、部屋のTVはまともに映らない…ということで、新堂冬樹さんの小説「カリスマ」を読みました。
「カリスマ」は、新興宗教の洗脳とそれによる家庭崩壊、人間が抱えるコンプレックスや弱さをテーマにした小説です。オウム真理教をモデルにしていると思える箇所もあるかな。
新堂冬樹さんの作品のなかで、個人的には最高峰という内容。洗脳の手法や家庭崩壊の苛烈さに、
((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
と恐怖しまあす。普通、こういった宗教ものを描くと陳腐になりがちなわけですが、新堂さんがもつ描写力のなせるワザというか、説得力があります。
嫌な思い出を想起させたり各人のコンプレックスを責め続けて、思考回路がパンクしたところに宗教団体の教義を擦りこむ。脳のメカニズムが~という論理的な説明も興味深いわけですが、自分や家族もいつ新興宗教の魔の手に掛かるかわからないという点で、防衛のために一読をオススメしたいです。
「カリスマ」は、基本的には人格や家庭が破壊していく話なので、読んでいると気が重くなるのですが、新堂さん特有の諧謔が随所にちりばめられていて、笑える場面もあります。
特に、教祖の俗物ぶりや心境を吐露する場面では、
アヒャヒャヒャ(゚∀゚≡゚∀゚)ヒャヒャヒャ
と抱腹絶倒。
例えば、教祖が、「大豆と豆乳しか摂らない」と言いながらも、実はプッチンプリンが大好物だったり、自分専用の部屋で酒をこっそり飲んでいたり、お気に入りのアイドルの○ビデオを通販業者から買って徹夜でみて寝不足に陥ったり(←結局ガセビデオだった)と、そのダメダメっぷりがたまらなく人間くさい。
本文を抜粋すると↓
「視界が揺れた。酔いが回っていた。よろめいた。踏ん張った。踏ん張った拍子に下腹に力が入り、放屁した。条件反射で周囲を見回した。 ここは天上の間--教徒達はいない。気が緩んだとたんに連発で屁が出た。よろめこうが屁をひろうが、教徒がいないのならば関係ない。なんという解放感、なんという安堵感。酔いのせいか、思わずスキップをした」
ω_(゚∀゚ )≡スキップスキップ
ただ、興味本位で新興宗教を取り上げているんじゃなく、結構考えさせられる部分も多いです。なぜ、人は宗教にはまるのか? なぜ何かに縋ろうとするのか? どのようにして洗脳がすすむのか? 小中高生にはとても読ませられないですが、20歳を越えて社会に出ていると言う人は、読んでいて損はないと思います。
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